ヘルプデスクが抱える課題
ヘルプデスクは、社内外からの幅広いお問合せに迅速かつ適切に対応する重要な役割を担っています。しかし、ヘルプデスクを効果的に運営する上で、以下のような課題をよく耳にします。
ナレッジが共有されない
ヘルプデスクでは、お客様からのお問合せを電話、メール、Webフォーム、チャットなど、様々なチャネル経由で受け付けます。そして多くの場合、複数の担当者で、窓口対応を行います。様々なチャネルを利用することにより情報を一元管理するのが難しく、また複数の担当者が対応することから、情報が共有されにくいといった問題が生じやすくなります。その結果として、過去の対応履歴や個人のノウハウといった重要なナレッジが活用される形で蓄積されず、効率的なサービス提供を阻害する要因になります。経験値の高いベテランの方であれば、頭の中に存在するナレッジで対応できますが、新任の方は、わからないことがあると、その都度質問しなければ対応できないため、ヘルプデスク全体としての効率低下に繋がります。
また、知識を持つベテランが退職したり異動してしまうことでナレッジが消失するリスクもあります。
対応範囲が増大している
企業を取り巻く環境が急速に変化する中、製品の多品種化、複雑化が進み、サービスの種類やオプションも増加の一途を辿っています。これに伴い、ヘルプデスクのお問合せ対応において必要な知識量も急激に増加しています。社内のITヘルプデスクを例に取っても、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進やテレワークが普及した背景もあり、業務のデジタル化が進み、ヘルプデスクでのサポート対象となるシステムも増加傾向にあり、対応範囲は広がる一方です。
問い合わせる側のリテラシー
お問合せをするお客様や社員は、皆が同じリテラシーを持っているわけではありません。製品・サービス・ITに関する知識量は問い合わせる人によって異なります。例えば業務システムやソフトウェアを扱うヘルプデスクでは、お客様がトラブルの状況を正確に伝えられない場合も多く、ヘルプデスク側での状況把握に手間取ることも多くなります。また、回答にも用語の説明など付加情報をより多く伝える必要があったり、確認のためのやりとりが多くなるため、解決までに時間がかかってしまいます。
問合せの対応状況が把握しにくい
お問合せの中には、すぐに対応しなければならない緊急性を要するものもあります。ヘルプデスクの人員にも限りがありますので、数多くのお問合せがある場合には、ヘルプデスクの担当者全員の対応状況を把握し、問合せの緊急性や複雑性などを考慮した上で、優先順位を決め、適切にお問合せを割り振る必要があります。対応状況が把握できていなければ、担当者によって業務負荷が偏ったり、対応遅れによるお客様満足度の低下に繋がってしまいます。