第3回:似て非なる回答を防ぐ。精度と信頼性を両立する「ドリルダウンRAG」とは?

前回の記事では、Web上の情報を自動で取り込み、自然な会話形式で回答を返す「WebRAG型AIチャットボット」の導入方法と活用シーンについてご紹介しました。

今回はWebRAG型AIチャットボットの特徴の一つである「ドリルダウンRAG」の仕組みと、その価値について解説します。

なぜ“近いけど違う回答”が起きるのか?

生成AIチャットはとても便利ですが、よくある課題の一つが「少し違う情報が出てしまう」という現象です。例えば以下のような状況です。

●「2024年の製品Bの取扱説明書が欲しい」と聞いたのに、2025年版の製品Aの説明書が表示されてしまう
●「社内用の資料を探したい」のに、外部公開資料を案内されてしまう
● 医療分野などでは、似た症状や制度の誤った情報が返ると重大な混乱につながる可能性がある

これは、AIが回答の根拠として選ぶ情報(=検索結果)が、ユーザーの意図と完全には一致していないために起きる問題です。Webサイト上に似たような情報が多ければ多いほど、こうしたズレが生じやすくなります。

いくら生成AIが「人間らしい回答」を作れても、「元となる情報選び」がズレてしまえば、やはり誤回答につながるのです。

ドリルダウンRAGとは?──“検索の絞り込み”をAIがリードする

情報量の多いWebサイトでは、ユーザーが求めている情報にぴったり合うページを探し当てるのは容易ではありません。

とくに似たような製品や制度が複数存在する場合、AIチャットが少し違う内容を拾ってしまい、結果的に「近いけど違う回答」が返ってくることがあります。

こうした課題を解決するために生まれたのが「ドリルダウンRAG」です。

これは、ユーザーの知りたいことに対して、状況や条件を確認しながら情報を少しずつ絞り込んでいくというアプローチです。

たとえば以下のような対話になります:

AI:補助金の対象は、新築住宅ですか?リフォームですか?

ユーザー:リフォームです

AI:補助金は○○市の住宅改修助成制度をご利用いただけます。詳しくはこちら(URL)

このように、段階的に条件を明確にしながら、より適切な情報へとたどり着くのがドリルダウンRAGの特長です。

従来のAIチャットのように“質問だけ”に依存せず、柔軟に情報の幅を調整しながら答えることができるため、誤った案内やズレた回答を防ぐことができます。

ドリルダウンRAGが特に有効なのは、以下のような情報構造を持つケースです:

● 製品ラインアップが多岐にわたるメーカーサイト(型番、モデル、年度)
● 自治体・大学・病院などの制度/申請情報(条件・地域・対象者など)
● IR情報やマニュアル類が年度や対象別に分かれている企業サイト
● 社内ナレッジベースで「部門別」「ルール別」に情報が異なる組織

こうしたケースでは、「全体から一発検索」では情報が混在してしまいがちですが、ドリルダウンRAGなら意図した情報を確実に引き出せる流れを作れます。

特に、企業のサポート部門や営業チームにとっては、誤った情報で顧客対応をしてしまうリスクを減らす大きな助けになります。

まとめ:Webの情報が、会話で届く時代へ

これまでのAIチャットは、「気軽に聞ける」「すぐ答える」ことに主眼が置かれてきました。
しかし、業務現場ではそれだけでは不十分です。正確さと信頼性のある回答があってこそ、情報提供は“使える”ものになります。

ドリルダウンRAGは、まさにその次のステージへ進むための仕組みです。

● 膨大なWeb情報から、ユーザーの意図に沿った内容を絞り込み
● 対話を通じて“必要な情報だけ”を的確に提示
● 回答と同時にURLも示されることで、信頼性も確保

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